弁護士コラム

本家相続は弁護士にご相談を-ハンコ押代は通用しない

名古屋の遺産分割専門の弁護士・伊藤勇人です。

 

私の父方は愛知県小坂井にありまして、典型的な地方都市です。そして、長男が家督を相続し、次男は養子に出され、三男である私の父は名古屋に上京した、という家族構成です。今でも地方では家督相続のことを「本家相続」とよんで跡継ぎとしての優位性が認められるケースが多いように思います。

 

しかし、戦後、GHQのもとで平等相続が基本とされましたが、GHQは介護のことを考えているのだろうか?という疑問を抱くこともあります。

 

世間知らずの裁判官はびっくりしてしまうかもしれませんが、地方都市では、長男が財産を引き継ぎ、他の子には遺産分割協議で取り分なし(これを地方では相続放棄と間違ってよんでいます。)に同意をします。そして、ハンコ代というものをもらい納得してもらうというやり方が主流でした。

 

ちなみに、私も三男の父親が死亡していただめ代襲相続人として出席しましたが、ハンコ押し代をもらっただけで終わりました。

 

これは地方では家は長男が継ぐ者であるという思想が根強く残っているし、それが儒教的な考え方からすると間違っているともいえないからです。

 

しかし、アメリカやフランス直輸入の日本民法は、兄弟間では平等相続が基本です。これは戦前の身分制度は家族内における差別に原因があることから、家族内差別から撤廃しなければならないという歴史的・立法政策的配慮も背景にあるように思います。

 

こうすると、ご両親は「長男に任せておけば」と思い遺言を作らない・・・。そして、次男や長女は東京に住んでおり民法の規定では兄弟は平等相続という理念があるといって相続分の主張をされ、いちばん困ってしまうのは板挟み状態のご長男ということになるのです。

 

ハンコ代で済むだろう-という考え方は事態を悪化させる可能性があります。こうした場合は法的紛争が生じておりますので、弁護士・また税理士業を行っている専門家への相談をおすすめいたします。税理士は紛争性がある案件の関与は禁止されておりますし行政書士や司法書士も代理権がありませんから,ご相談をすることはできません。

 

しかし、やはり「遺言があれば」という気持ちになりますが、愛知県は農家が多いので、私は、これからも農業従事者である依頼者の事情を理解して欲しいと頭を下げましたが、残念ながら本家相続というのは下準備が必要であり、その後は協議を重ね、ご兄弟は田畑の取得にこだわれましたが、現在では全く手入れもされていないようです。こうしたところをみると農地を多くお持ちの方で後継者がいる方はお早めに経営や事業を維持し、農業に従事したいとうお子様の気持ちのためにも遺言を作成されることをおすすめします。

2014/03/21